カンヌ側に寄せ過ぎたのでは…? 映画『光』感想/ネタバレ

カンヌ映画祭の結果発表前であった初日に観たのでもうずいぶん前のように思えるのですがレビューをしていなかったので今更ながら書いていこうと思います。

作品としては悪くないと思いました。

しかし、内容がちょっとカンヌ側にすり寄りすぎなのでは…と思えなくもなく、

魂で映画を撮ると語っていた『山田孝之のカンヌ映画祭』での河瀨監督の姿を見ているだけにそれはどうなのか…と思わずにはいられませんでした。

それでは以下あらすじなどをどうぞ。

あらすじ

人生に迷いながら生きてきた女性が、視力を失いゆく天才カメラマンとの出会いを通して変化していく様子を描く。視覚障がい者のための「映画の音声ガイド」の制作に従事している美佐子は、弱視のカメラマン・雅哉と出会う。雅哉の無愛想な態度に反感を覚える美佐子だったが、彼が撮影した夕日の写真に感動し、いつかその場所に連れて行って欲しいと思うようになる。そして、視力を失っていく雅哉の葛藤を間近で見つめるうちに、美佐子の中の何かが変わりはじめる。

スタッフ

監督
河瀬直美
脚本
河瀬直美
撮影
百々新

キャスト

  • 永瀬正敏 中森雅哉
  • 水崎綾女 尾崎美佐子
  • 神野三鈴 智子/時枝(劇中映画女優)
  • 小市慢太郎 明俊
  • 早織
  • 大西信満
  • 白川和子
  • 藤竜也 北林/重三(劇中映画俳優)

作品データ

製作年 2017年
製作国 日本・フランス・ドイツ合作
配給 キノフィルムズ
上映時間 102分

河瀬直美監督最新作

『萌の朱雀』の河瀬直美監督が『あん』に続いて永瀬正敏とタッグを組み、『ユダ』の水崎綾女をヒロインに迎えて描いたラブストーリー。

僕は『あん』を見たときにこれまでの作風よりもだいぶ大衆寄りの作品になったなという印象を受けました。

しかしその作品はカンヌではある視点部門止まりになりました。

(海外セールスは非常に好調だと聞きます。)

それがとても悔しかったのか本作は音声ガイドという仕事を描くことによって広い意味で「映画」を題材にしてまでもカンヌに選ばれようという想いが透けて見えるような気がして僕はあまり好きではありませんでした。

確かに終盤のシークエンスはとても情感豊かに積み重ねられていて、さらに音声ガイドの声が樹木希林というのがまたずるいポイントでもあるのですが、これでもかとまでに積み重ねていく感じもなんだか鼻につく。

「映画」の映画に仕立て上げるために無理くり作られた感じがあるんです。

「映画」の映画を作るために音声ガイドという仕事を選んだのか、音声ガイドという仕事を描きたくて描いていったら偶然にも「映画」の映画になったのか。

僕にはどうも「映画」の映画を作るためにやっているようにしか感じられるそれがとても嫌でした。

作品の出来が云々以上にとても嫌だったのです。

音声ガイドという仕事

僕は音声ガイドという仕事に対して何の知識もないのですが、例えばこれが一種のお仕事映画であったとしてその仕事に対して新たな気づきを与えてくれるものであったなら良かったと思うんです。しかしそれがなかった。

だいたい音声ガイドの仕事をしている人が奈良在住ということがあるのでしょうか?

もし役のモデルとなった方がいるのであれば文句はないのですが、どうなんでしょう。

あまりそこに現実味は感じなかった。

唯一完成までにモニター試写というのを繰り返すということを知れたことだけが救いではあります。

しかしそのモニター試写のシーンに実際に視覚障がいをお持ちの方を起用しているのはどうかと思いました。

その方の言葉の重みが強すぎて他が霞んでしまうというか演技であることが浮かび上がってしまう。

役者ではない方を使うというのはよくあることですがその強度みたいなものをもっと考えなければいけないのではと思わされた次第でございます。

カメラマンであること

また永瀬正敏さんは非常に素晴らしくていいのですが、彼の職業がカメラマンであること、はまあいいし、視力を失いつつあるという設定もいいと思います。

ただ作品内で使われる写真も永瀬さん自身が実際に撮られたものだと言います。

これはどうなんでしょうか?

僕はこの事実を見た後に知ったのですが、なるほどなと思いました。

だから写真に説得力がなかったんだと。

本編中で尾崎美佐子が写真を見て感動するシーンに写真の説得力が決定的に欠けている。

その写真で感動できないとこの作品はどうしようもないと思うのです。

まぁこれは個人の感性でしかないのでどうしようもないことなのですが。

せめてあの写真1枚だけでもプロの撮った決定的に感動できるものにしてほしかったなと思います。

まとめ

色々とやんややんや言いましたが、『進撃の巨人』色気を纏って三浦春馬を誘惑する役を演じていた水崎綾女がこういう役を演じれるようになったんだと感慨深かったとともに凄く綺麗に撮られていて河瀨監督でも女性を綺麗に撮れるんだと驚かされたり、

やはり永瀬正敏は素晴らしかったり、いい点も少なからずある作品なんです。

ただ、カンヌという賞が付きまとうとどうしても正常に評価できないし、そこに向けての汚れが見える。その1点がどうしても受け入れがたかったのです。

今回カンヌの主要賞を受賞しなくて本当に良かったと思います。

河瀨監督には次回もっと魂で撮ったような作品でカンヌに勝負していただきたいと思います。

期待しています!

おすすめ度

☆7/10

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