その心ごと、生きていく 映画『マンチェスターバイザシー』あらすじ/感想/ネタバレ

『ジェシー・ジェームズの暗殺』『インターステラー』のケイシー・アフレックが主演し、心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。

この紹介文を書いていて思うのは「あれ?インターステラーにケイシー出てたっけ?」ということでした。

それぐらい僕にとってケイシーアフラックの存在感は薄いのです。

俳優としてより『容疑者ホアキンフェニックス』の監督として認知しているくらいです。

なのでアカデミー賞で主演男優賞を獲ったときは「なんで俺たちのゴズリングじゃなくてケイシーなんだよ!」と憤怒したりもしましたが、それなら観てやろうじゃないの!とずっと楽しみにしていたのが本作でした。

結果としてケイシーアフレックの芝居ぶりは確かに主演男優賞受賞に値する素晴らしいものでした!

ケイシー疑ったりしてごめんよとこの場を借りて謝らせてください。笑

そして素晴らしいのはケイシーだけではなく、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の脚本で知られるケネス・ロナーガンの素晴らしい脚本と演出手腕。(アカデミーでは脚本賞を受賞。)

また助演男優賞にノミネートされていた甥っ子役のルーカスヘッジスもそれはもう大層素晴らしかったです。

マンチェスターの街並みもとても綺麗なんです。

今までサッカーチームの名前くらいでしか認識していなかったけど…。笑

よし、それでは以下あらすじなどをどうぞ!

あらすじ

アメリカ、ボストン郊外で便利屋として生計を立てるリーは、兄ジョーの訃報を受けて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。遺言でジョーの16歳の息子パトリックの後見人を任されたリーだったが、故郷の町に留まることはリーにとって忘れられない過去の悲劇と向き合うことでもあった。

スタッフ

監督
ケネス・ロナーガン
製作
ケネス・ロナーガン
マット・デイモン
脚本
ケネス・ロナーガン
撮影
ジョディ・リー・ライプス
編集
ジェニファー・レイム

キャスト

  • ケイシー・アフレック リー・チャンドラー
  • ミシェル・ウィリアムズ ランディ
  • カイル・チャンドラー ジョー・チャンドラー
  • ルーカス・ヘッジズ パトリック
  • カーラ・ヘイワード シルヴィー
  • C・J・ウィルソン ジョージ
  • グレッチェン・モルエリーズ
  • マシュー・ブロデリック ジェフリー

作品データ

原題 Manchester by the Sea
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ビターズ・エンド、パルコ
上映時間 137分

痛みを抱えた人々の物語

まずこの映画がどんな内容の物語なのかというと痛みを抱えた人々の物語と言えると思います。

想像していた以上に壮絶な痛みを誰もが抱えている。

しかもその痛みの矛先をどこに向けることもできない人々の生きていく姿を過剰に描いていくこともなく淡々と描いていく作劇は心にすっとしみ込んでとてもリアルな痛みとして響いてきました。

この作品における脚本と編集はちょっと独特で、日常の話でありながら時系列が飛び飛びになりながら進んでいきます。

なので最初のうちは「えっ、これっていつの時点の話?」と少々混乱してしまいますが見ていくうちに慣れていきますし、そういう構成にすることによってただ時系列に沿って描くよりも深い見え方になるように作られています。

素晴らしい脚本編集だと思いました。

船上のシーンのあとで不意に現れるこの車のカットとか凄く良くて「おぉ!」ってなりました。

この写真だけ見ると微妙かもしれませんが…。笑

そんなリズムが癖になる編集でございました。

ケイシー&ルーカス

本作において特筆すべきはやはりこのケイシー&ルーカスなのではないかと思います。

一見すると痛みをそんなに抱えていないようなふるまいをしながらもある重大な痛みを抱えているケイシー演じるリー。

また父親の死という痛みを抱えながらもそんなことは全く気にせずに青春を謳歌しようとしているルーカス演じるパトリック。

パトリックは二股をしていたりして「父親の死?なにそれ?」といったような軽快さを持ち合わせているのですが、それが崩れるあるワンシーンがとても素晴らしい。

またリーもある重大な事件のあとのすべてを終わらせようとするあの芝居とあの表情!

思い出すだけで涙があふれてしまいそうです。

それを踏まえたうえで改めて、予告などで見られるこの二人がただ歩いているシーンを見るととても胸に来るものがある。

この二人が今後も仲良く生きていってくれたらいいなぁとそんなこと願わずにはいられないのです。

さて、本作で4度目のノミネートを果たしたミシェルウィリアムズですが、思っていた以上に出番は少ないですのでそこはあまり期待し過ぎない方がいいかと思います。

やっているお芝居はまぁ確かに素晴らしいし、重要な役ではあるんですが。

ちなみにポスターのメインビジュアルのようなシーンは本編にはありませんのであしからず。

まとめ

『マンチェスターバイザシー』は内容的には地味な作品だと思います。

それでも見せ方がとても上手いし、なによりも役者陣の芝居が格段に良い!

久しぶりにこんな風な演技合戦映画を見ることが出来たなぁと嬉しい気持ちになりました。

個人的には『ムーンライト』じゃなくてこの作品がアカデミー作品賞を獲っていても良かったのではないかなぁと思います。

それぐらい浸れる要素がてんこ盛りの映画です。

上映館数はやや少なめですがぜひ劇場で見てやってください!

ケイシーに幸あれ!

おすすめ度

☆8.5/10

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