その願いは月明かりのように 映画『ムーンライト』感想/ネタバレ

あらすじ

マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「チビ」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。

スタッフ

監督
バリー・ジェンキンス
原案
タレル・アルビン・マクレイニー
脚本
バリー・ジェンキンス
撮影
ジェームズ・ラクストン
キャスト
  • トレバンテ・ローズ シャロン(ブラック)
  • アンドレ・ホランド ケヴィン
  • ジャネール・モネイ テレサ
  • マハーシャラ・アリ フアン
  • ナオミ・ハリス ポーラ

作品データ

原題 Moonlight
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ファントム・フィルム
上映時間 111分
映倫区分 R15+

第89回アカデミー賞作品賞受賞!

第89回アカデミー賞であの大傑作ミュージカル『ララランド』を抑えて作品賞を受賞した本作の注目度はとても高く、

その熱の冷めないうちにと公開が1か月早められる異例の事態となりました。

また新聞広告で大々的に広告を打つなど、

近年稀に見る徹底宣伝ぶり。

さらには広告に銘打たれている、

「今年1本だけ映画を観るならこの映画を選ぶ」

というコピーにハードル爆上がりの中公開2日目である4月1日に観に行って参りました。

土曜日かつその日は映画の日ということで映画館は大盛況でした。

『ムーンライト』も通常ではお客さんがそんなに入る映画ではないものの宣伝のおかげで9割方埋まっていたと思います。

映画館にお客さんが入るのはやはりとても喜ばしいことだなあと感慨深かったです。

 合わせ技系?

僕はこの映画を観る前にほとんど前情報をいれていませんでした。

予告すら見ていませんでした。

なので正直人種差別と性差別が合わさった映画なのかな…?

というくらいの簡単な印象しか抱いていなかったのです。

しかし見て見ると思い描いていた話とは違い、

果てしなく純粋な想いを描いた作品だったので非常に驚きました。

黒人の同性愛ものの映画ってこれまでにあったのかな?

ちょっと見たことなかったので設定を知ったとき、

「あぁ、そういう合わせ技系ね、はいはい。」(なにそのジャンル…。笑)

と愚かな考えを抱いていたことをここにお詫び申し上げます。(謝)

題材としてはある種派手な表し方をできるものだったと思うんです。

それをこのような作風で描き切ったこと、

その想いの綺麗さには敬意を表したいと思います。

同性愛映画への印象

これは完全に偏見なので不快に思う人がいたら申し訳ないのですが、

僕は同性愛というものは映画で描かれる時、

普通の恋愛ものより性欲が突出してクローズアップされる傾向にあるように感じていて、

それはそれでわかりやすい描き方だと思うのですが、

あまり良しと思っていなくて。

同性愛って言ったってそればっかりじゃないだろうと。

そんな想いに対する一つの答えがこの映画にはあったと思います。

人を想うという気持ちには性別とか人種とかそんなの関係ないんだとこの映画に教えられたように感じました。

かと言って、この映画には人種や性趣向について直接訴えかけるような文言があるわけではなく、

全く押しつけがましくないのでがとても好ましく感じられました。

役者に対する評価

本作で一つ驚いたのは助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリの出番がとても少なかったこと。

主人公を導いていく大事な役割を担っている役ではあるのですが、

そんなに特筆すべき好演をしているともあまり思えないので助演男優賞受賞には疑問です。

それならケヴィンを演じたアンドレ・ホランドの方が良かったように感じました。

この電話の感じとか、店にやってきた客がシャロンであることに気づくシーンとかはとても良かったですし、

そしてなによりこの二人の感じはとても好きでしたけどね。

でも俳優賞受賞に至らなかったのは成長とともに演じる役者が変わるという作品の特性によるものだと思います。

その結果としてやむなしのマハーシャラアリの受賞となったのではないでしょうか。(邪推)

なんにせよアカデミー会員がこの作品を高く評価したことの証明ですね。

作品の評価

この作品の受賞結果に対してよく言われているのは、

前年度の黒人俳優軽視に対する反動ではないかという、

トランプ政権に対する返答としての受賞だということです。

実際のところどうなのかは分かりませんが、

それらのことは少なからず関係していると僕は思います。

正直なことを言えば僕は『ララランド』の方が好きですし、

多くの人に愛されるのも『ララランド』だと思うのです。

でもきっと誰かにとって大切な作品になる可能性を秘めている、

そんなところをアカデミーは高く評価したのかもしれません。

こういう作品が作品賞を獲ったことが多くの観客の目に触れるきっかけになるという意味で作品賞受賞は正しかったと思います。

実際『ララランド』は作品賞逃してもあれだけのお客さんが入っているわけですからね。

まとめ

この作品は誰にでも響く作品ではないかもしれません。

でも誰かにとって重要な作品になり得る、

そんな可能性を大いに秘めた作品だと思います。

例え主人公たちと同じ境遇になくても月の明かりのように心の奥にすっと入り込んできて共鳴してしまう部分は誰にでもきっとあるはずです。

そして『ムーンライト』というタイトル。

見終わったときに思うのは

「あぁ、なんて純情なタイトルなんだろう」

というただそれだけです。

その感覚を味わうだけでもきっと心が豊かになるはずだと思います。

ぜひ劇場でご覧になって沁み入ってみてください!

おすすめ度

☆8.5/10

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク