生きたという確かな証し『聖の青春』感想/ネタバレ

今回は『聖の青春』をご紹介します。
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あらすじ
幼い頃から腎臓の難病・腎ネフローゼを患い、入退院を繰り返した村山聖は、入院中に何気なく父から勧められた将棋に心を奪われる。師匠との出会い、そしてプロ棋士として羽生善治ら同世代のライバル棋士たちと死闘を繰り広げ、まさに命を削りながら将棋を指した村山聖の壮絶な一生が描かれる。
スタッフ
監督
森義隆
原作
大崎善生
脚本
向井康介
エグゼクティブプロデューサー
井上伸一郎
キャスト
松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太、安田顕、柄本時生
製作年
2016年
製作国
日本
配給
KADOKAWA
上映時間
124分
難病と闘いながら将棋に人生を賭け、29歳の若さで亡くなった棋士・村山聖(さとし)の生涯を描いた大崎善生による同名ノンフィクション小説を、松山ケンイチ主演により映画化。
監督は「宇宙兄弟」の森義隆、脚本を「リンダ リンダ リンダ」の向井康介がそれぞれ担当している。
羽生善治とは「東の羽生、西の村山」と並び称された村山を演じる松山は、役作りのため20キロ以上も重増。羽生役には東出昌大が扮する。
なんて素敵な青春なんだろうと素直に思えました。
たとえ長く生きていたとしてもこんな青春を送れるとは限りません。
生きたいように生きねばと思わされる傑作でした。
僕自身将棋に対して特に思い入れがあるわけでもなく、子どもころ父親の「将棋で買ったら500円あげる」という一言に乗せられてやっていたことがあるくらいの僅かな思い出がある程度なのですが、(結局1度も勝てた記憶がない…)
聖が将棋を始めた理由も父親が絡んだものだったためなぜだか妙に感情移入してしまう部分がありました。
思えば将棋を題材にした映画を観るのは初めてだったかもしれません。
将棋の駒を打つ音が劇場内に響き渡った瞬間とても感動している自分がいました。
来年公開作には同じく将棋を題材にした『3月のライオン』がありますが先にこの映画があったことを嬉しく思います。
さて、拝見したのは昨日なのですが寝て起きて、この映画が自分の中でさらに大きくなっていることに驚きました。
映画の中の人物の行動が焼き付いて離れないのです。
それぞれ実在する人物がいると思われますが、その人物として確実に存在していると思わせる実在感をここまで役に与えることができている役者、演出の力は日本トップクラスだと思いました。
特に劇中最重要かつ誰もが知っていることから最も難しい役だったと思われる羽生善治を演じた東出昌大さんはこれまでのベストアクトともいうべき渾身の出来だったと思います。
決して声や顔が似ているわけではありませんが、特徴をつぶさに捉えながら真摯に役に向き合った結果、東出さんにしか出来ない羽生善治さんを存在させられたんだと思います。
監督の森義隆監督はドキュメンタリー出身の監督でリアリティー重視の妥協を許さない演出で知られる方で、今作でも対局の棋譜を役者に暗譜させるなど徹底的に嘘を排除していったんだそうです。
ちなみに劇中で東出さんが掛けていたメガネは当時実際に羽生さんが掛けていたメガネなんだそうです。笑
そのエピソードだけでも作り手、演じ手、さらには羽生さんを含む村山聖にまつわる人々の熱い想いを感じることが出来ます。
そしてなんと言ってもこの映画におけるMVPは松山ケンイチさんでしょう。
何でも演じられるが故にキャラクター色の強い役が多かった昨今の松山さんですが、今作で役を生きるという部分において若手俳優の中で頭1つ抜けた存在であることを改めて証明したと言えます。
体重を20キロ増やしたというエピソードが話題になりましたが、そんなことは役作りのうちの1つでしかなく、聖は何が好きで、どういう人で、どうありたいのか。
そして松山さん自身も必死にもがいて生きた結晶なんです。
決して誰からでも愛されるような人物ではなく、卑屈な性格の聖を愛して、愛し抜いた結果のこの生き様と死に様はぜひ見逃さないでほしいです。
実話を元にした話でしかも将棋が題材ということで少々地味な作品ではありますが、近年ここまで感動できる実話作品が日本にあったかというと思いつかないくらいにクオリティーが高く、純度の高い作品になっています。
村山聖という人物がいたという確かな証しと、松山ケンイチ、東出昌大という役者の底力をぜひその目に焼き付けてください!
おすすめ度
☆8.5/10

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