どこかでみたようなサスペンス『ミュージアム』

今回は映画『ミュージアム』をご紹介します。
新宿ピカデリーにはこんな感じの展示がございました。
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あらすじ

雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを前提としたかのような死体から、カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を追い詰めていく沢村だったが、カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、絶望的な状況に追い込まれてしまう。
スタッフ
監督
大友啓史
原作
巴亮介
脚本
高橋泉
藤井清美
大友啓史
キャスト
小栗旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己、田畑智子、妻夫木聡
製作年
2016年
製作国
日本
配給
ワーナー・ブラザース映画
上映時間
132分


過激な描写と緊迫のストーリー展開で人気を博す巴亮介の人気サイコスリラー漫画を、これが初タッグとなる小栗旬主演×大友啓史監督により実写映画化した作品。
『凶悪』の高橋泉が脚本に名を連ねていたのでどんな過激な映画になっているのか楽しみにしていました。
しかし結果はどこかで見たことあるサスペンス映画でしかありませんでした。
この手のサスペンス映画で最も有名かつクオリティの高い作品として挙げられるのがデヴィッドフィンチャー監督の『セブン』であると思われますが、
この作品も日本版『セブン』になりえるだけの可能性は十分に持っていたと思うだけにとても残念です。
まず期待していた要素として近年有数のヒットメイカーであり良質なエンタメ作品を世に送り続けている大友啓史監督作品であること。

先に述べた高橋泉さんが脚本に名を連ねていること。

かねてから日本の俳優の恵まれていなさに異論を唱えている小栗旬さんが主演であること。
妻夫木聡さんが悪役を演じていること

これらがどんな作品を生み出すに至ったのかとても興味があったのです。

その結果がこれかと…見ながらとても悔しい気持ちになりました。

今年の邦画の作品群に良質なものが多いからこそ、この手のテーマでこの程度の作品しか生み出せないないのかと…

今回は少々厳しめに書かせていただきます。

まず大友監督がこの作品をやる必要があったのか?ということです。

大友監督の今年公開の作品として『秘密 THE TOP SECRET』(こちらも同じく高橋泉さん脚本)があり、来年3月公開の二部作『3月のライオン』が控えています。

撮影時期がどういう順番になっているかはわかりませんが、思い入れを持って最大限にこの作品のことだけを考えて取り組めているのかと考えるとどうなんだろうかと思わずにはいられません。

少なくとも作品からは熱意は感じられませんでした。

グロテスクな描写は確かに存在しているのですがそれが見た目だけでしかなく、この手の作品をやるのであればたとえ批判があったとしてもやり抜くぐらいの熱が必要だったのではと思います。 ぬるいです。

鑑賞後に原作を読んだのですが、絵のタッチがとても作風にあっており本当に怖い漫画に仕上がっていたと感じましたし、ラストの余韻の残し方が素晴らしいほどに気持ち悪くなぜこの終わり方にしなかったのか疑問でしかありません。

その他にも改悪としか思えない部分が多々ありました。

特にひどいと思ったのは小栗旬さんの演技です。

今作での小栗旬さんの演技は通り一辺倒でひたすら叫び倒す、それ以上でも以下でもない痛みの全く感じられないものでした。ただただうるさかったです。

原作のこの人物はそんな人物ではなかったはずです。

周りを無視して単独行動せざるを得なくなっていく主人公に観客が感情移入する余地を奪っているとしか思えなかったです。

妻夫木さんの役もカエル男という見た目のキャッチーさ、これだけで劇場にお客さんを呼ぶことには成功しているとは思うのですが、

この男の人物造詣が思いのほか薄っぺらく、登場人物中最も大きな痛みを抱いているであろうこの人物の痛みが描けていないし、猟奇的殺人犯の域を出ていかないのがこの作品の薄さを際立てています。

妻夫木さんが今まで演じてこなかった役をとても楽しそうに演じているのはよくわかるのですが、それは妻夫木さんが楽しいのであってカエル男が楽しんで物事に及んでいるのとは別だと思うのです。

あと最後言葉での説明をベラベラしゃべりすぎるのもとても不快でした。

今作中唯一良かったと思う点として田畑智子さんが演じている役のある台詞、あの台詞が身の毛のよだつ言葉になりえる瞬間というのが怖くてとても良かったです。(何を言うかわかってしまうような演出×)

他にも犯人との対決になってからが長いとか、回想が多すぎるとか、飲食店でヒント得すぎとか、犯人が主人公に興味を持つきっかけがご都合主義すぎるとか批判したいところは山ほどありますが、これもひとえに期待してしまっていたからなのです。

許してください。

この作品を見て面白いと思った人はぜひ原作をご覧いただければと思います。
もしなにかエグイものを観たいと思っている人がいるならば僕は黒沢清監督の『クリーピー』を猛烈支持します。おすすめです!(クリーピーを。笑)

おすすめ度
☆5/10

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