独創性のその先へ『溺れるナイフ』

今回は『溺れるナイフ』をご紹介します。
正直あまり期待していなかったのですがそれなりに楽しめる作品になっていました。
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渋谷TSUTAYAさんに衣装が展示してありました。
あらすじ
東京で雑誌モデルをしていた少女・夏芽は、父親の故郷である田舎町・浮雲町に引っ越すことに。自分が求めていたものと大きくかけ離れた田舎での生活にがっかりする夏芽だったが、地元一帯を取り仕切る神主一族の跡取り息子コウと出会い、彼の持つ不思議な魅力に心を奪われる。そしてコウもまた、この町では異質な夏芽の美しさに次第に惹かれていく。
スタッフ
監督
山戸結希
原作
ジョージ朝倉
脚本
井土紀州
山戸結希
製作
依田巽
キャスト
小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音、志磨遼平
製作年
2016年
製作国
日本
配給
ギャガ
上映時間
111分
映画化された「ピース オブ ケイク」でも知られる漫画家・ジョージ朝倉の同名少女コミックを実写映画化した青春ラブストーリー。
監督を務めるのは「あの娘が海辺で踊ってる」「5つ数えれば君の夢」など少女の過剰な自意識を描いた作品で注目を集めてきた新鋭女性監督・山戸結希さん。
共同脚本として東京学生映画祭で山戸監督を高く評価した井土紀州さんを招いた作品です。
キャストには夏芽役に小松菜奈さん、コウ役に菅田将暉さんと『ディストラクションベイビーズ』でいがみ合っていた二人が惹かれあっていく役を演じている点もとても興味深い作品です。
数多いる近年の若手女性監督の中でもひと際飛びぬけた個性を放つ山戸結希監督。
突き抜けた少女性を描き続ける作風には熱狂的な女性ファンが多いと言います。
僕は男なので正直今まで拝見した『5つ数えれば君の夢』『おとぎ話みたい』は独創性は感じるものの特に琴線に触れることもなく…という感じでした。
しかし、本作はその独創性を残したまま大作映画に落とし込むことに成功している作品だと思いました!
山戸監督のこれまでの作品は明確なストーリーラインには重きを置かず監督の感覚だけで畳みかけていくような作風のため、どこか「着いて来れる人だけ着いてくればいいよ」と言われているような、
乗れない人にとっては居心地の悪い作品だったような気がしました。
今作の場合ストーリーラインとして原作があり、また共同脚本の形をとっているのでお話の流れが感覚的なものになりすぎず、見ていれば理解できるものになっているし、
和歌山県新宮市の風景をとても美しくとらえた幻想的な撮影が世界観を作り上げています。
特にタイトルインまでで二人が惹かれあっていく様を独特のカット割りや映像演出で描き切っているのは大変見事でした。
さまざまな雑誌のインタビューによると現場がとても過酷で荒れていたらしく、「お蔵入りしてしまうのでは…?」という心配があったそうです。
そんな過酷な現場には感じられないくらい役者がとても良かった映画でもあります。
主演の二人はもちろん、その他の役者さんもとても魅力的でした。
ジャニーズWESTの重岡大毅さんの一途に想い続ける健気な姿勢はとても素敵できっとこういう人が女性を幸せにするんだろうなぁと思ったり。笑
『君の名は。』では声で好演していた上白石萌音もとても良く、最初は実写版三葉や!なんて思いながら見ていたのですが物語が進むにつれて変貌していく姿は怖さを感じる程でした。
そして、なんと言っても僕が最も素晴らしいと思ったのがカメラマン役で音楽も担当されている志磨遼平さんでした。
異質な存在感で主人公夏芽を東京へとつなぎとめるキーパーソンを演じていました。
僕が個人的に提唱するミュージシャンみんなお芝居できる説がまた一つ立証された好事例だと思います。
また志磨さんを映し撮るときのカメラVSカメラの構図がひと際素晴らしくとても好きでした。
この規模で公開されている作品においてこれだけ作家性が推し出されている企画はなかなかないと思いますし、好きだろうと嫌いだろうと山戸結希を目撃すべきタイミングは今だと思います。
上映前近くに座っていた女性二人組が「ヤバい、絶対泣くんだけどー!」とハシャいでいました。
でもきっとその人たちは泣かなかったと思います。
そういうバランスの映画ではないですし、これを見て泣く人は、より映画に精通している人だと思うからです。
その二人組が泣くよりももっと大きな感情を抱いて劇場をあとにしていてくれたらと願わずにいられません。
おすすめ度
☆7.5/10

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