いくつになっても嫉妬する『さざなみ』

あらすじ
結婚45周年を祝うパーティを土曜日に控え、準備に追われていた熟年夫婦ジェフとケイト。ところがその週の月曜日、彼らのもとに1通の手紙が届く。それは、50年前に氷山で行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたというものだった。その時からジェフは過去の恋愛の記憶を反芻するようになり、妻は存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく。
監督
アンドリュー・ヘイ
製作
トリスタン・ゴリハー
製作総指揮
クリストファー・コリンズ
リジー・フランク
テッサ・ロス
キャスト
シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、ジェラルディン・ジェームズ、ドリー・ウェルズ 、デビッド・シブリー
原題
45 Years
製作年
2015年
製作国
イギリス
配給
彩プロ
上映時間
95分
今回はアンドリューヘイ監督作『さざなみ』をご紹介します。
シャーロットランプリングがアカデミー賞にノミネートされていた作品だったので気になっていて、劇場公開時は見られずDVDレンタルでようやく見ることができたのですが、男女の違いを巧みに描いた大傑作映画でした!
ほぼ前情報なく見たのでどうせどっか外国の大御所監督が作ったちょっと小難しい作品なんでしょ!とポスタービジュアルを見て勝手に思っていたのですが、
そんなことは全くなくシンプルに人間を描いているただそれだけの映画なのでわかりやすく、
(それだけでいることがどれだけ難しいか…。)
しかも監督はまだ長編3本目の新人監督だそうで。
熟練の域だよ!凄すぎるよ!めちゃくちゃ才能あるよ!って見終わった後興奮しながらおうちをうろうろしてました。笑
どうやら日本では劇場未公開の『ウィークエンド』という作品がこの前のPFFで上映されていたようです。
もっと早く知っていれば観に行ったのに…。くそぅ…。
ただいま新作を準備中とのことなのでそれを楽しみに待ちます。
さて、内容はというと45年連れ添った夫婦の関係が1通の手紙によって揺らいでいってしまうお話なので、20台後半の僕(彼女なし)には到底理解できないような話かと思いつつ、
結局のところは人間の普遍的な感情である嫉妬心を描いているのでとても理解できました。
(理解できるような気になってるだけな可能性もあり!)
人生の中で共に過ごした時間の方が圧倒的に長いふたりなのに信じられなくなってしまうことがあるのかと、やはり人を信用しすぎるのは良くないな、結婚なんて…。と思わされた次第でございます。
でもそんなことは『ブルーバレンタイン』や『テイクディスワルツ』を見たときも存分に思わされたことではあるので、それならばそんなに特筆すべきことではないのでは?と思われるかもしれませんが、
じゃあ今回はなにが違ったのか、なにがそんなに刺さるのかを自分なりに検証してみたところ「静かな映画」であるというところに大きなポイントがある気がしました。
お互いががなり立てたり、泣きわめいたりすることなく、それなのに感情がしっかりと伝わる演技。
時計の秒針の音がカチカチと聞こえてきたり写真の映写機の音がひたすらに響き渡るほど静かです。
音が映画を形作っているようでもありました。
そして特に本作は女性側を描くためにひたすらシャーロットランプリング側にフォーカスを当て続け、彼女の表情だけで徹底的に描き続けます。
それを見ていくだけで全てが分かるようになっているんです。
終盤夫が結婚45周年を祝って照れ隠しにジョークを交えたスピーチをするシーン。
不覚にも感動してしまい、良い映画だったなぁ、今のシーンのカメラ位置も引きすぎず寄りすぎず絶妙なんだよなぁなんて思いながらエンドクレジットを待っていたら訪れるラストのあの表情。
すげぇ…。としか言いようがなかったです。
生涯忘れることはないでしょう。
ぜひ見てほしい、この時間に身を委ねてほしい、そう思います。
第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をそろって受賞したのも納得の演技で、なんならシャーロットランプリングはアカデミーを獲っても良かったのでは?というほどの出来でした。
そしてなにより物語を通して圧倒的な統制力をみせているアンドリューヘイ監督は今後大注目なのではないでしょうか!
一見の価値はありますし、今後も残っていく作品になるのではと感じました。
これからしばらくは『さざなみ』見た?を合言葉に生きていこうと思います。
あっ、それと『さざなみ』という邦題がシンプルかつ深くてとても素晴らしいです。
全ての邦題がこうであればいいのに。
おすすめ度
☆9/10

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