壁を越えてくるもの『オーバーフェンス』

今回はオダギリジョーさん主演の作品『オーバーフェンス』をご紹介します。
『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』の原作者・佐藤泰志の芥川賞候補作を、オダギリジョーさん、蒼井優さん、松田翔太さんら豪華キャスト共演で映画化した作品です。
『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバーフェンス』は函館三部作と呼ばれていて、どれも函館を舞台にした映画で監督は違えど撮影監督は同じ人が担当しているのですがそれぞれ違った持ち味があり、その中でも『オーバーフェンス』はずば抜けて心地の良い空気感を持った作品でとても好きでした。
あらすじ
妻に見限られて故郷・函館に戻った白岩は、職業訓練校に通いながら失業保険で生計を立て、訓練校とアパートを往復するだけの淡々とした毎日を送っていた。そんなある日、同じ訓練校に通う代島にキャバクラへ連れて行かれた白岩は、鳥の動きを真似する風変わりなホステス・聡と出会い、どこか危うさを抱える彼女に強く惹かれていく。
監督
山下敦弘
原作
佐藤泰志
脚本
高田亮
撮影
近藤龍人
製作
永田守
キャスト
オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介
製作年
2016年
製作国
日本
配給
東京テアトル
上映時間
112分
受賞歴
第8回TAMA映画賞 作品賞、最優秀男優賞、最優秀女優賞

描かれていることが当人たちにとっては深刻な事態ではあるもののそこまで深刻に描かれているわけではなく、どこかゆるいラインの中で描かれているというか、緩急のつけ方がとても巧みな映画だと感じました。
実際の人生においても、どんなにつらい状況にいたとしても笑ったりすることがあるじゃないですか。
そんな人生と地続きの時間の流れの中に存在する映画なのかなと。
登場からかなりパンチの利いている蒼井優さん演じる聡も一歩間違えれば現実のラインから踏み越えてしまいそうな役柄ではあるのですが、それを実にバランスをとって演じられていた蒼井優さんはやはり素晴らしいと改めて思わされました。(あんなにアンバランスな役なのに。)
絶対にめんどくさい女なんだけど惹かれてしまわずにはいられない魅力を持った女性でオダギリさん演じる白岩が聡に惹かれていくのもとてもわかる気がします。
監督の山下敦弘さんは『天然コケッコー』『苦役列車』などで知られる映画監督で、独特なオフビートな演出が魅力の方です。
最近でいえば山田孝之さんを主演に迎えたドキュメンタリードラマ『東京都北区赤羽』が最高に好きなのですが、『オーバーフェンス』は久しぶりに映画として完成度が高く余韻の深いものになったなという印象でした。
特に子ども演出が抜群に上手く、時折深刻になってしまいそうなシーンでも子どもが入ることでシーンが和らがせることができ、そのおかげで一面的になりすぎずに深みを増すことに成功していると思います。
同じく山下監督の11月3日公開作『ぼくのおじさん』は子どもが中心のお話みたいなのでそちらもとても楽しみです。
脇役の俳優さんもすごく良くて、職業訓練所の生徒役の北村有起哉さんと鈴木常吉さんが実在感があってとても良かったです。
それと個人的に、松田翔太さんの役が普段着としてサッカーのユニフォームを着ているんですがあんなにかっこよく着こなせる人いる!?というくらいばっちり着こなしていてとてもよかったです。笑
あまりにもあっけなくタイトルの通りに映画が終わります。
その時なにかが越えてくるのか来ないのか、あんなこともあったなぁとふとした瞬間に思い出したくなるようなそんな映画だと思います。
ぜひ、ご覧ください!
おすすめ度
☆8.5/10

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